AfDの暴言を抑えつけようとして裏目に出ている新しい法律NetzDG

2年前にケルンの大晦日のパーティーで、北アフリカ系の移民集団が人混みの中で暴行や窃盗を働き問題になった事がある。この年はちょうど難民問題が最高潮の時期だったのでヨーロッパの雰囲気は最悪になった。その為警察も去年あたりから真面目に取り締まりるようになったのか今年のドイツ各地の大晦日パーティーは比較的平穏に終わったかに見えた。しかし、そうは問屋が卸さない。今度の騒ぎの中心は最近流行りの右派ポピュリスト、AfDの連中である。

事の発端はケルンの警察が大晦日にあたり、ドイツ語、英語、フランス語、アラブ語で新年の挨拶をツイートとした事から始まった。そのうちのアラブ語での挨拶にAfDの議長の一人であるベアトリックス・フォン・シュトルヒが噛み付いた。彼女はアラブ語に露骨に不快感を示し、更に「イスラム教の野蛮で集団暴行をする男連中」と明らかにイスラムを差別し敵対視するツィートで物議を醸した。彼女の発言は大いに問題視され、フォン・シュトルヒのツィッターアカウントは一時停止され、警察は彼女を民衆扇動の罪で犯罪を告発する事態となった。

そのような発言でアカウントを停止され告発されるとは本当にAfDの連中も馬鹿だなと私も最初は思っていたのだが、他のAfDの重鎮も相次いで差別的なコメントをネット上で連発し全く悪びれる様子もない。そもそも、連中も政党のトップになるような人間なので普通に考えれば私らより賢いし、タダで警察に告発されるような事はしない。ニュースを追いかけているうちに、なぜ今回AfDがわざわざこんな騒ぎを起こしたのか理由があることが分かった。

それはNetzDGと言われる、ネット上の暴力的、差別的な発言を取り締まる法律が今年から施行されるからだ。この法律は言ってみれば、AfDのような連中の暴言をネット上から排除するために作った法律であるわけだが、民主主義社会で極めて重要な「表現の自由」を否定するとも言われており元々この法律の是非は大いに揉めた。当然AfDはこの法律に大反対していた。

そこでAfDはこの法律の施行が始まる今年の元旦に合わせて、ここぞとばかりに敢えて声高にイスラムを差別するネット上の発言で注目を集め、現在のドイツが表現の自由を許容しない非民主的な国家であることを国民に主張し、自分たちがその被害者であることをアピールしている。つまり、このネット上の差別的な発言を無くすために作った法律が、逆にAfDの連中に利用され問題を大きくしているという皮肉な状況になっている。

このAfDのやり口は私から言わせれば相変わらず非常に卑劣で受け入れ難いが、結局このような連中の暴言を力で抑えようとしても現状難しいということだ。AfDがドイツ第3の政党であり、ある程度の支持を得ていることから見ても、一方的に敵対視するよりは、ある程度普通のパートナーとみなして付き合って行った方が得策だと思われる。但しあんまり好き放題をさせるわけには行かないので、その辺のさじ加減はかなり難しい。何れにせよ、今回の騒ぎを見る限り新しい法律NetzDGはその意図こそ理解できるが下策だろう。逆に普通の常識ある人の発言も委縮させてしまう点でも問題がある。

にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ