Nein以外のドイツ語での断り方

Noと言えない日本人とは良くいったもので、海外に住んでいると私もそれを実感するものだ。一般的に日本において、ぶしつけに断る事は失礼にあたる上、「いいえ」と言っても謙遜しているだけの場合もあれば「はい」といっても完全な肯定でないこともある。

私は日本人である以上こういった感覚を失わないようにしているつもりだが、これら外国人はまず理解できない日本特有のコミュニケーションであろう。言うまでもなく、ここドイツでもNein(No)と言えば否定、Ja(Yes)と言えば肯定である。その意味についてなんら深く考える必要は全くない。

しかし、だからこそ安易にNeinと断る事には慎重を期すべきだと考えている。少なくともドイツ語で”Nein”と言ったら相手に有無を言わせず断るという文字通り強い効力をもった言葉であると自覚した方が良い。”Nein”といったらNeinであり、日本のように雰囲気で勝手にJaに変わることはない。

そしてもちろん、相手だって人間だ。断ることによってお互いネガティブな感情が出てこないように配慮するのは当然のことだ。従って、相手や状況に応じたふさわしい断り方というのも存在する。些細なことならともかく、相手の事情を汲み取った”Nein”以外の断り方も覚えておいて損はない。

例えばまず…Das sieht schecht aus…「見通しが悪い」とか…ich denke, das ist schwierig…「難しいと思う」あるいは…da müssen wir noch einiges klären…「幾つかのことを解決しなければならない」等と言えるし、もっとピシャリと断りたければ…das ist momentan leider nicht möglich …とか…das können wir derzeit leider nicht…「今は残念だけど無理」等と言ったりする。他にも色々言い方はあるが、何れも比較的簡単な言い回しだ。

そして忘れてはならないのが、出来る範囲で理由を説明することだ。これは私が思うにかなり重要で、この理由付けの良し悪しでかなり相手からの評価は変わってくる。変な理由はもちろん相手から突っ込まれるが、どんな屁理屈やウソでも何も言わないよりは遥かにマシだ。

ドイツにおいて、断るという行為自体は失礼でも何でもない。ただ理由を説明しないのは失礼であり、出来ないのは無能だと見なされる。わたしの記憶が正しければゲーテインスティテュートが行うドイツ語の検定試験においても、物事を論理的に正しく説明できるかがかなり重視されていたはずだ。この理由の説明に関してはしっかりとトレーニングを積んでおく必要がある。

よく、日本人は優柔不断でハッキリしないから欧米人をイライラさせると言われる。これは当たってる部分もあるかもしれないが、だからといって性急にJaかNeinで白黒つける必要など全くない。だいたい、ドイツ人にメールなどを書けばわかるが、日本人みたいにすぐに律儀に返事をしてくるのは少数で、結局JaなのかNeinなのか全くわからないままイライラさせられたりするものだ。