UEFAネーションズリーグの登場で、変わりつつあるサッカー代表戦の在り方

しかしそもそも、なぜUEFAネーションズリーグなどという物議を醸す大会が催される運びになったかというと、数年前からサッカー代表戦の人気が落ちているからだ。他のヨーロッパの国は知らないが、ドイツではこれは特に顕著だといえる。私自身もはっきり言えば、代表の親善試合は最近見る気が失せてきている。選手は疲れており、怪我のリスクを避けるために明らかに手を抜いており、勝ち負けなどはっきり言ってどうでも良いので全く盛り上がらない。

また、かつてはサッカーの世界最高峰の大会はW杯だったのだろうが、現在では言うまでもなくUEFAチャンピオンズリーグである。更にW杯は参加数も将来的には48か国に増え、サッカーの世界一を決める大会というよりは、普及の為の大会になりつつある。同じくEUROも前回から参加国が24ヵ国に増えたことで試合のレベルが著しく落ちた。はっきり言えば、前回のEUROはこれまでの中でも最も面白くなかった。

さらに言えば、かつての代表戦は単なる勝負のみならず、各国独自の文化と文化の対決でもあった。例えばイタリアならカテナチオ、ドイツならば規律と精神力、イングランドならキック&ラッシュなどの各国がそれぞれの独自のスタイルを持っており、代表戦はそのサッカースタイルの対決を楽しむ場でもあった。それは確かに現在でも残っているとは言え、国ごとのスタイルの差異はここ数年でかなり少なくなりつつある。とりわけドイツはここ15年でそのスタイルは大きく変貌した。

そして、そのドイツの変貌に大きな役割を果たしたのが移民背景をもつ選手たちだろう。こういった選手の割合はここ10年で圧倒的に増えた。彼らの登場でドイツの競技力は確かに向上したし、サッカーの内容自体は面白くはなった。しかし、彼らの多くは試合前の国歌も歌わず、国を代表していると言うよりは傭兵のような感がある。いくらサッカーが上手くても、それでは代表の試合でファンの心を掴むのは難しい。これに白けつつある国民は間違いなく多いだろう。

そんな中、果たしてネーションズリーグの登場で代表戦が長期的に再び盛り上がるようになるかは少々疑問が残る。まあ、これまでの親善試合よりはましになるだろうが、そうなればおそらくこれまで権威のあった国際大会であるW杯やEUROのステータスは更に落ちるだろう。クラブで過密日程のスター選手が、EURO、W杯、ネーションズリーグのすべての大会にフィットして出場できる訳がない。どこかの大会を仮病でも使って休む必要がでてくる。

おそらく、ネーションズリーグの複雑なフォーマットを考えれば、しばらくはその推移を見守りつつ将来的に現在のEUROと統合した一つの大会になるだろうと思うし、それが個人的には望ましいと思う。また、UEFAとFIFAは近い将来グローバル・ネーションズリーグという、世界の代表チームが加するリーグ戦を企んでいるとも言われる。これが実現すれば、おそらく現在のW杯も今の形のままでは残らない。サッカーの国際試合の在り方が今後数年で大きく変化するのは間違いないと思われる。