新たなFWを発掘、育成する必要がある新生ドイツ代表

ユーロ2016が終わってからまるでサッカーを見ていなかったが、そうこうするうちにブンデスリーガも開幕し、昨日は新生代表チームのユーロ後初の公式戦である2018W杯予選の対ノルウェー戦が行われた。

新生チームと言ってもドイツは主将のシュバインシュタイガーと、同じくベテランのポドルスキが代表引退したが、主力は殆ど20代表半ばの選手が多く、EUROの時と殆ど変わらないメンバー構成だ。変わったと言えば、新しいキャプテンがGKのノイアーになったことと、一部の選手の背番号が変わったことだろう。個人的にはエジルがやっと10番をつけてくれることは嬉しい。世界を見渡しても現在彼ほど背番号10が似合う選手はいない。

昨日の試合に関して言えば、公式戦とはいえ相手は最近まるでパッとしないノルウェーという事もあって、最大の見所は勝負よりも準決勝で敗退したユーロにおいて噴出した問題を監督のヨアヒム・レーヴどのような形で修正を図ってくるのかという点だった。具体的には圧倒的にボールを支配しながらの得点効率の悪さ、特に生粋のFWの不在という点についてだ。

しかし、レーヴはこの試合においてもEUROに引き続き本来2列目のマリオ・ゲッツェを偽9番としてワントップのFWに配置し、メンバー的な目新しさはまるでなかった。ただ攻め方においてはEUROの時と明らかな違いが見て取れた。最も特徴的だったのは、例によって高い位置を取る両サイドバックがボールを受けると間髪入れずにペナルティエリアにクロスを送る場面が目に付いた。

EUROの時はドイツはショートパスから相手の守備を崩すことに腐心して結果的に攻めに時間がかかり、その間に相手の守備が整ってしまうという悪循環を繰り返していたが、昨日の試合でのスピーディな攻撃はこのときの反省を踏まえたものであることは明白だ。

また、ゲッツェは偽9番ながら前半はペナルティエリアに留まり、相手のDFを中央に引きつけるという事を徹底していた。これはおそらくEUROの準決勝のフランス戦でFWを務めたミュラーが余りにも動き回りすぎてゴール前での脅威を与えられなかった反省を踏まえたものだ。そのミュラーは昨日は慣れた2列目の右から中央への飛び込みをはじめ、縦横無尽に動き回り、2得点1アシストだけでなく前線の守備でも大活躍、昨日の文句なしのMOMだ。

試合は3ー0でドイツの危なげない勝利で、内容から言っても上々の出来だったと言えるだろう。しかし、ヨアヒム・レーヴはここから2年後に向けてFWを見つけなければならない事には変わりなく、そしてそれは簡単ではない。ドイツ代表のプレースタイルに適応するには単に大きくて強い選手ではなく、それに加えて高い技術と知性を兼ね備えたオールラウンドな能力が要求されるからだ。現状は物足りないが、ゲッツェを鍛えるというのもまだ選択肢からは簡単に除外できないだろう。

また、両サイドのクロスの精度は改善の余地がある。特に左サイドのヘクターはこの点を劇的に改善してほしい。次戦は10月にチェコとの試合となる。おそらく予選において最大の難敵であると思われるが、内容的にも磐石な勝利を期待したい。