へレンタル渓谷はアウトドア派なら是非訪れるべき、素晴らしい観光地

Höllentalklamm(へレンタルクラム)とはドイツとオーストリアとの国境近くにあるアルプス山脈一帯の中にある渓谷だ。地図で見るとガルミッシュ・パーテンキルヘンの南、ヴァクセンシュタインとアルプシュピッツェという山のちょうど間にある。ここから南西にはドイツ最高峰のツークシュピッツェがそびえ立つ。

Klamm(クラム)とは渓谷の中でも狭く特に水が流れている所を意味するバイエルン語である。引っ付けてHöllentalklammと呼ばれる。ドイツ語はこういう2語や3語を引っ付けた合成語が非常に多い。とりあえず日本語ではへレンタル渓谷としておこう。

へレンタル渓谷は今回の休暇中に是非とも行きたい場所だった。本当は先週予定していたが、コンディションが悪く、道中渋滞にも巻き込まれてしまい断念した次第であった。今回は体調も万全で、しっかりと早起きをして渋滞にも巻き込まれず、天気も最高で全てが順調に進んだ。

このへレンタル渓谷にたどり着くにはまず、Hammersbach(ハマースバッハ)と言う所からスタートする。ここに渓谷に一番近い駐車場があり、徒歩で山道を進みへレンタル渓谷にたどり着く。これは私の感覚ではちょっとした登山であり結構難儀だ。周りを見ても結構登山用のストックを利用している人が多い。約1時間後にようやく入口にたどり着く。もう随分と高い所までやってきた。

へレンタル渓谷に入ると、いきなり断崖絶壁が目の前に現れる。進んでいくにつれて渓谷は狭くなっていき、入り組んだ岩場を澄んだ水が滝のように流れていく様子を間近に見ることができる。絶壁から流れ出す水の流れはダイナミックで自然のエネルギーが満ち溢れていおり、それに変化に富んだ岩場の組み合わせが重なって、独特のかつ壮大な自然の営みを堪能できる。進むにつれてもその景色は千差万別であり観るものを飽きさせない。本当に素晴らしい体験だ。

この狭い場所を抜けるとやや穏やかな景色が眼前に広がる。ここの岩場で一服した後、さらに上まで登っていく。先に進んでいけば大きめのログハウスがあるのでそこが目的地だ。またもや傾斜がやや急な山道だが、なんとか30ー40分くらい進んで目的地に到達できた。ここからはそびえ立つアルプスの岩山の景色が本当に壮観である。

適当な場所を見つけてこの景色を観ながら持参したサンドイッチで昼食を取ったあと、ログハウスに併設されているレストランで一杯ビールを飲み下山を始めた。別の下山ルートもあったが、私はへレンタル渓谷をもう一度見たかったので、同じルートを通っていった。最終的に駐車場まで戻ってくるのに約5時間かかる長丁場となり、かなり体力を消耗したが、本当に大満足の1日だった。

このへレンタル渓谷はバイエルンに来たなら是非とも訪れてほしい場所であるが、残念ながら気軽にホイと立ち寄れる場所ではない。かなり体力を使う上に、少なくとも山道に適した服装に厚底で丈夫な靴は必須である。また暑くてもアウトドア用のジャケットは必要だ。渓谷内は夏でも涼しい上に上から多くの水滴が落ちてくるので結構濡れる。

ただ、こんな素晴らしい自然のスペクタクルを観れるのにたった4ユーロだ。私から言わせれば、かの有名なノイシュヴァンシュタイン城とホーエンシュヴァンガウ城に20ユーロ以上払うことを思えば、遥かにコスパに優れた観光地であるというのが私の感想だ。