アトレティコ・マドリーに完敗を喫したFCバイエルン

アトレティコ・マドリー対FCバイエルンという昨シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(以下CL)4強対決が早くもグループリーグで実現した。言うまでもなくCLグループリーグの最大の好カードだ。グループリーグとはいえ、両チームとも是が非でも1位通過して決勝トーナメントの組み合わせを楽にしたいだろうから、首位通過をかけた重要な直接対決の一つだろう。

またバイエルンにとってアトレティコは昨シーズンの雪辱を果たすべき相手であると同時に、今シーズン初めて対戦する強敵と言って良い。そういう意味でもこの対決は現時点でのチーム力を測る絶好の試金石でもあった。

試合は前半15分まではボール保持に勝るバイエルンが優勢に試合を進め、例によっていつも良い所に顔をだすミュラーが決定的なチャンスを得る。しかし、程なくしてアトレティコが逆襲を開始した。アトレティコの中盤は運動量、一対一の強さでバイエルンを凌駕し始め、そして鬼レベルの攻守の切り替えの速さで一気にバイエルンのゴール前まで迫ってくる。

しかもアトレティコの選手はスペインの選手の例に洩れず非常に巧い。チームが極めて高レベルで統率されながらも、意外性のある攻撃を仕掛け、バイエルンの守備陣が翻弄される場面も散見される。そしてバイエルンはついに前半35分に試合展開から言えば極めて妥当なゴールを許してしまう。

後半はより守備的にシフトしたアトレティコにバイエルンがボールこそ保持するが、全くこれといった解決方法は見つかる気配もなく、明らかに監督のアンチェロッティも含め焦りの色が見え始める。アトレティコは完璧に統率された守備で殆ど全くと言って良いほどバイエルンにチャンスを与えないどころか、時折見せるカウンターは危険極まりない。

更に終盤80分にはアトレティコの攻撃陣がバイエルンのペナルティエリア内でボールを保持、巧みなパス回しで翻弄し、明らかに業を煮やしたビダルが相手を突き飛ばすというお粗末なファウルを犯しPKを与えてしまう。これはグリーズマンが外したが、どう見ても完全にアトレティコの思う壺だ。そのまま試合は1-0でアトレティコが勝利した。

贔屓目なしに見れば、現時点での欧州最強クラスのチームの対決らしく極めてレベルの高い良い試合だった。しかしバイエルンを応援していた私から見れば残念だが、アウェーという事を差し引いてもバイエルンがやや力負けした感は否めない。

私の印象ではバイエルンは徐々に世代交代の時期が迫って来ているのではないか。確かにリベリー、ロッベン、アロンソらのベテランは依然として優秀な選手だ。今日の試合の戦犯でもなく、むしろ良く頑張っていた方だろう。しかし、リベリーもロッベンも個人で相手守備陣を切り裂く圧倒的な力は既に無い。アロンソの配給力は依然として世界屈指だろうが、走力の低さはこのレベルでは致命的であろう。バイエルンは明らかに衰えの見える彼らを中心に念願のCL制覇に漕ぎ着けることができるのであろうか。

とは言え今日の試合を見る限り、アトレティコが無茶苦茶強いのも事実だろう。あんなサイボーグみたいな連中にどうやって勝てというのだ。今シーズンも間違いなく優勝候補であろう。一方のバイエルンはこのままだとグループリーグでアトレティコの後塵を拝し2位抜けの可能性が高い。16強で他グループを1位抜けしてきたバルセロナかユヴェントスあたりにさらっと負けてジエンドになる可能性は高いと思うのは私だけだろうか。