ブンデスリーガがプレミアリーグに挑む、チャンピオンズリーグ16強

2月も半ばに入り来週からチャンピオンズリーグのKOラウンドが開始する。近年FCバイエルン以外は鳴かず飛ばずだったチャンピオンズリーグも今年はドイツからバイエルン、ドルトムント、シャルケの3チームが16強に進出した。

しかしこの3チーム、いずれもかなり厳しい対戦相手を抽選で引き当てている。即ち、バイエルンはリバプール、ドルトムントはトッテナム、シャルケはマンチェスター・シティと対戦する。ブンデスリーガvsプレミアリーグという構図になった。

私としては当然ブンデスリーガ勢の勝ち抜けを希望するが、少なくともシャルケはまず勝ち目が無い。1stレグがホームなので2ndレグに数字上望みを繋げるような試合ができれば、それで御の字だろう。注目に値するのはバイエルンvsリバプール、ドルトムントvsトッテナムだ。

まず来週トッテナムと対戦するドルトムントだが、よりによって現在今シーズン最大の試練と言って良い状況に晒されている。最大の懸念はここまで圧倒的な実力でドルトムントを引っ張ってきたロイスが怪我で出場が危ぶまれている事だ。

ロイスは先週の火曜日に行われたDFBカップのブレーメン戦で内転筋を痛めて途中交代を余儀なくされ、ドルトムントはこの試合PKで敗れた。更に昨日のホッフェンハイム戦もロイスは欠場し、試合は3点を先制しながら試合終盤に同点に追いつかれ、そのまま引き分けた。精神的に負けに等しい引き分けと言えるだろう。

ロイスはその圧倒的な実力の反面、異常に負傷の多い選手として認知されている。今年はこれまで例外的に負傷無しでここまで来たが、ロイスが再び長期的に離脱するようであれば、ドルトムントがトッテナム相手に勝ち抜けるのはかなり厳しいと言わざるを得ない。

ここまでロイスの怪我の程度は全く公にされておらず、ロイスがアウェイの1stレグに間に合うかは不明だ。両チームの戦術および試合の展開に大きな影響を及ぼす選手だけに、ロイスの状態が不明なのは多分に情報戦の意味も含まれているだろう。

もっとも現在ケインとアリを欠くトッテナムも万全の状態では無い事が予想される。ドルトムントはアウェイの1stレグで定石通りアウェイゴールを最小限に抑えれば、遅くとも2ndレグでロイスが復帰すれば望みはある。

私はロイスはどんな強敵が相手でも試合を決めることの出来る実力を持った選手だと高く評価しており、負傷が深刻なものでない事を願いたい。最終的にドルトムントの浮沈はこのロイスの復帰、そしてその出来にかかっていると言っても過言では無いだろう。とはいえ、まずチームとしては1stレグに向けて昨日終盤に3失点した守備陣の立て直しが急務だ。

そしてFCバイエルンはドルトムントvsトッテナムから1週間後の2月19にリバプールと対戦する。現在プレミアリーグでも首位をキープするリバプールは昨年のCLも決勝に進出した。チームは現在ドイツ人監督として最高とも言える元ドルトムント監督ユルゲン・クロップが率いており、FCバイエルンの特徴も知り尽くしている。現在考えられうる最強の相手と言って良いだろう。

はっきり言えば、さすがのFCバイエルンも今年に関していえばリバプール相手に勝ち抜けは難しい。少なくとも私はその前提でいる。とりわけ、バイエルンの守備陣には大いに不安がある。アラバ、キミッヒはともかくフンメルス、ボアテング、ズューレがリバプールの攻撃陣を抑え切れる姿は想像できない。

更に不安なのはGKノイアーが昨年に引き続き再び離脱している事だ。ノイアーは右親指を負傷しているとされ先週のレヴァークーゼン戦を欠場した。怪我の程度についてはっきりとした事は分かっていない。

仮にノイアーがリバプール戦を欠場するなら、代役を務めるのは昨年に引き続きスヴェン・ウルライヒになる。ウルライヒの能力に関して私は多くはコメント出来ないが、ウルライヒは先週のレヴァークーゼン戦で4本のシュートで3失点しており、昨日もシャルケ戦もハイライトを見る限りかなり不安定な印象を受けた。

更に昨年はCL準決勝のレアル戦で、あり得ない後逸を犯しバイエルン敗退の直接的な要因となった。あのミスは能力とは関係ないブラックアウトとはいえ、不安が無いと言えば嘘になる。まあ、ノイアーと比べるのは余りにも不憫とだけは言っておきたい。このところノイアーの負傷が増えており、ウルライヒは世界で最も損な役回りを演じざるを得ないGKと言える。

後半戦ここまでのFCバイエルンでポジティブな面があるとすれば、それはレオン・ゴレツカがフィットしてきた事だろう。ゴレツカはセントラルMFながら既にここまで4得点を挙げている。とりわけ、レヴァークーゼン戦での先制点は秀逸で、ゴレツカは相手のカウンターを驚異的な走力からのタックルで防いだ後、相手陣内へ後方から飛び込み頭で決めた。

屈強な体格と高い技術、スピード、テクニック、ダイナミックさの全てを兼ねて備えたゴレツカはミヒャエル・バラック以来の大型セントラルMFだ。ここ数年は小手先の技術に走り消極的なプレースタイルの印象を持っていたが、その才能が開花に近づきつつある事を窺わせる。リバプール戦もスタメンで出場する事が予想されるので、個人的にはかなり注目している選手だ。