ドイツ政府と州、家族や同一世帯を除く「接触禁止令」を決定する

日曜日の朝の時点でドイツの新型コロナの感染者は22364名、死者は84名である。前日よりそれぞれ2980名、19名増加した。ドイツではまだイタリアやスペインのような医療崩壊は生じて無いように見えるが、いつコントロール不能な感染爆発が起きてもおかしく無い。最悪の事態を防ぐため、ドイツ政府と州は既に先週の時点で様々な強硬策を打ち出し、加えてバイエルン州は単独で州民に「外出制限」を命じた。

更に、この週末の国民の行動如何では、究極の措置とも言える「外出禁止令」がドイツ全土へ出る可能性がある事が政府から既にほのめかされていた。イタリア、スペイン、フランスといった国では既にこれは発動されている。

そして本日、首相のメルケルと各州の首相がこの件について電話会議を行い結論が出た。ここでドイツは周辺国が採用している「外出禁止令」ではなく、原則的に他者と「接触禁止」のルールが月曜日から実施される事が決定した。例外は家族および、同一世帯に住む住人となる。

つまり、外に出ても構わないが、家族或いは同一世帯以外の他人との接触は禁止、具体的には対人距離を最低1,5m保たなければならないという事になる。確かに外出禁止はあまりにも国民のストレスが大きい上に、その効果に関して専門家の間でも意見が別れていた。このルールはひとまず2週間継続される。(他にも決定事項があるが省略する)

もっとも、バイエルンに関しては既に述べたように、「外出制限」がいち早く実施されており、これが覆されるという話は今のところない。

因みに報道によると、この「接触禁止」については事前に16州のうち12州で概ね意見が一致していた模様だ。そして察するに、このリーダー格はどうやらノルトライン・ヴェストファーレン州の首相であり、CDUの次期党首候補でもあるアーミン・ラシェットのようだ。

更にラシェットはこの電話会議において、他州と歩調を合わせず単独で外出制限を実施したバイエルン州首相のマルクス・ゼーダーを痛烈に批判したらしい。ゼーダーはこれに対し電話会議を中断して出て行くと怒り狂ったそうだ。確かに州によって対応が異なるのは、現状においては好ましくない。

もっとも、現在の感染スピードを見ればゼーダーの素早い決断は必要とされる所でもある。強権的かつ厳しい措置ではあるが、私はこれまでのゼーダーの対応には好印象を持っており、あくまで一庶民としては別段非難に値するものではない。

因みに、この両者はドイツの次期首相候補にも名前が挙げられる政治家であり、特にラシェットはこの新型コロナの対応如何でCDU党首および、ドイツ次期首相への道が大きく左右されるだろう。これは、ひとまず現在は重要なテーマではないが、新型コロナ対応の成否が今後のドイツ政界に極めて大きな影響を与える事は間違いない。