2018年のドイツで最も印象に残った事その2 : 政治における国民政党の没落

2018年のドイツで印象に残った事として、二番目に政治におけるこれまでの国民政党、すなわちCDU/CSU、SPDのような幅広い支持層を持つ大規模政党が著しく弱体化した事を挙げておきたい。今年がスタートした時点でこの三党の党首はそれぞれ、CDUアンゲラ・メルケル、CSUホルスト・ゼーホーファー、SPDマルティン・シュルツであった。しかし、現時点でこの3人の全員が党首から既に辞任、或いは退任を表明した事がそれを象徴している。

まずはこの中で最も壊滅的な崩壊ぶりを見せたのが中道左派であるSPD(社会民主党)である。昨年の連邦議会選挙の時点ではまだ20%程度あった支持率は、今年の11月の時点では13%まで落ち込んだ。バイエルンに至っては州選挙での得票率は10%にも届かないと言う前例のない弱体化ぶりを曝け出した。

このSPDのような中道左派政党が急激に弱体化しているのは、ドイツだけではなく欧州全体の傾向であり、その一方でAfDのような右派ポピュリストが台頭してきた。ドイツで言えばそれまでSPDを支持してきた低所得労働者層が、多くの外国人の流入や社会経済のグローバル化により不安を感じAfDに鞍替えしている点が指摘されている。

更にSPDに関して言えば、当初の思惑とは異なり再びCDU/CSUと共に連立政権に参加した事も大きな要因として挙げられる。これは、当初政権に参加する筈だったFDPがこの交渉を突然打ち切った為に、最終的にSPDが政権入りする按配になったものだ。しかし、はっきり言えばこの連立政権の仕事は最悪で、SPDはその中でも全く何のために存在しているのか不明なくらい存在感が低下した。

一方の中道右派の国民政党であり、ドイツ最大勢力であるCDU/CSU(キリスト教民主同盟/社会同盟)であるが、今年に関して言えばその弱体化の最大の要因はCDU党首メルケルとCSU党首ゼーホーファーの対立であろう。

難民問題におけるこの両者の対立は既に知るところであったが、今年になってゼーホーファーが更に強硬に反メルケル路線を前面に出し、姉妹政党であるCDUとCSU連合の崩壊の危機と言われる騒動にまで発展した。これらの一連の茶番劇は政権の不安定ぶりを露呈し、国民の政治不信を著しく増長させる結果となった。

とりわけ、国民が感情的になる品のない言動を繰り返し、露骨な票集め戦略に走ったCSUゼーホーファーへの視線は冷ややかなものだったと言える。難民問題に関しては、既に受入数自体はピークを過ぎており、ドイツの政治テーマのNo.1ではなくなっていることを窺わせた。

そして、続くバイエルン、ヘッセンの州議会選挙でCSU、CDUは予想通り大幅に議席を減らし、遂にメルケルが18年続けたCDUの党首を辞任するという歴史的転換点を迎えるにまで至った。また既に国民、そして党内での支持を失っていたゼーホーファーも続けてCSUの党首を辞任を表明した。CDU/CSU連合は依然としてドイツ最大の勢力を保ってはいるが、その支持率は恒常的に30%を切る記録的な低空飛行を続けている。

更にSPD、CDU/CSUといったこれまでの国民政党が著しく弱体化したことで、Grüne、AfDと言った本来特定のテーマに特化した主張をする政党が大きく支持率を伸ばすと言う結果をもたらした。これも悪く言えば国民の意見が特定のテーマに偏り、分断されていることを示唆する2018年だったと言える。

ドイツ大統領であるシュタインマイヤーは恒例のクリスマスのスピーチにおいて、意見の異なるものと議論し、妥協をすることの重要性を訴えたが、これは昨今の分断された社会を意識した発言であることは明白だろう。

直近の状況を見れば、CDU/CSUに関してはCDUの新たな党首が決定したことで若干ながらその支持率に回復傾向がみられる。もちろん、これも今のところは一時的な期待値以外の何物でもないだろう。その復活には茨の道が待っていることは間違いない。しかし、現状ガタガタの政権が安定する為にもその中核をなすCDU/CSUの復活は必須だと言える。これを託された新たなCDU党首クランプカレンバウアーへの重圧は極めて大きく、その手腕が注目されるところだ。

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