旧東ドイツ復興の為に導入された「連帯税」の廃止が現実味を帯びてきた

ドイツで給料を貰うと最初はその手取りの少なさに最初は唖然としてしまう。勿論、様々な社会サービスが日本よりも充実しているので単純に比較はできないが、最近は家賃やら電気代やら何でも値上がりで相対的に一般庶民の家計は以前より苦しくなっている。ここ数年は好景気のせいでやたらと人も増えたものだから日常のストレスも増大した。国家財政もここ何年も黒字であり、そろそろ減税を実施するべきだとの声が以前から出始めていた。

その中で先日財務相であるオラフ・ショルツが1991年以来導入されている「連帯税」= “Solidaritätszuschlag”の大部分を2021年に廃止すると言うプランを正式に提出した。この連帯税の廃止は以前より予告されていたが、遂にこれが現実味を帯びてきたと言える。

現在この連帯税は特に低所得者でない限り、所得税の5,5%の金額で毎月給料から差し引かれる。これは仮に独身者で月3000ユーロの給料だった場合、およそ23ユーロ、月4000ユーロならば38ユーロにもなる。当然給料が高くくなればなるほど税金も高くなるので、人によっては結構な金額になる。

ショルツのプランによると、独身者で年収およそ74000ユーロ、つまり月給6167ユーロ以内の給与所得者ならば2021年にはこの連帯税が完全に免除される。これは総じていえば全体のおよそ9割に該当するので、特に高額所得者でない限り、殆どの勤労者が恩恵を被ることになる。実現すれば最近では最大規模の減税と言う事になるだろう。

これに対してCDUとFDPといった保守系の政党は以前から既に全ての納税者に対して連帯税を廃止すべきと訴えていた。一方中道左派のSPDはより慎重で段階的な廃止を主張し、左翼政党のみが廃止に反対している。情勢から言えば、連帯税の廃止は遅かれ早かれ確実に実施されるだろう。問題はいつ、どのように行われるかだ。

もともとこの連帯税は1991年ドイツ統一の翌年に、表向きは旧東ドイツ地域の復興のために導入されたが、当時ドイツはアメリカの為に第二次湾岸戦争の援助も負担せねばならず、こちらの意味合いが実は強かったとされる。当初は1991年から1992年までの1年限り、主に所得税の7,5%を支払うものだった。

しかし、1年限りという話も例によって有耶無耶になり、やはり旧東ドイツ地域の復興に更にお金が必要いう事になる。そして、1995年には連帯税は再び7,5%で、更に今度は期限なしで復活した。1998年に現在の5,5%に引き下げられたものの、おそらく決して景気も良い時期だったとは言えず、大きな国民の反発があったことは想像に難くない。

それが現在、ここ数年の景気の良さで財政が潤っているのに加え、旧東ドイツも復興が進んだのか出費も年々下がってきたことで、連帯税の必要性が無くなって来たとの事だ。ショルツのプランだと高位の中間所得層が最も得をする事になるが、少なくとも悪い話ではない。手取りが増えれば、その分消費も増えるだろう。もっとも、堅実なドイツはここで失う税収入を別の形で補うシステムを確実に構築するだろう。