飛行機のチケットは高額だが、時と場合によっては欠航することがある。日本の場合はおそらく最も多いのは天候の理由だろう。或いは機材やシステムに障害が発生した場合もあるかもしれない。しかし、ここドイツでは知っての通り、「ストライキ」という原因がこれに加わる事になる。
例を挙げれば、2014年から2017年初めまで続いたルフトハンザ・パイロット組合と経営陣の労使紛争、或いは2018年の一部の空港サービス関連職員によるストライキで多くの便が欠航に追い込まれた。更には先月、空港のセキュリティ関連職員により大規模なストライキが実施された。このストライキはドイツ主要都市の8空港に渡り、ドイツ全土の空の便に甚大な影響をもたらした。
私はこれまで幸いにもこのような事態に遭遇したことは無いが、ちょうど南ドイツ新聞にストライキが理由で飛行機が欠航した際の乗客の権利が記述してあった。これらを参考に、仮にストライキでブッキングした飛行機が欠航する事態になった場合、どのように行動すべきかまとめてみた。
まずストライキであるが、これはEUの条例で言う所の、いわゆる「予測不可能かつ制御不能な異常事態」(ドイツ語 : Außergewöhnliche Umstände) に該当する。そして、一般にこのような異常事態が理由で飛行機が欠航になった場合、航空会社は利用客がそこで被った損害を補償する必要は無いとされている。
しかし、仮にストライキで飛行機が飛ばせなくなったとしても、航空会社は利用客を助ける義務がある。また、最終的に該当のストライキが「補償不能な異常事態」と認定されるには航空会社は可能な限りの代替処置を全て試みた事を後に法廷で証明しなければならない。
つまり、航空会社は確実に何らかの替わりのオファーを出してくるので、泣き寝入りしては絶対にならない。適切な行動をすれば、被害を最小限に抑える事ができる。
まず、ストライキ当日の問い合わせ先であるが、これは当然航空会社である。ただし旅行会社を通じてブッキングしている場合は、その旅行会社が問い合わせ先となる。ライアンエアーはメールかSMSでその旨を利用客に連絡するそうだが、当然ながら航空会社は全ての欠航を利用客に連絡する義務がある。
また、航空会社はストライキによる欠航で、自前で代替便が用意できなくとも、電車、レンタカー、バスでの移動や、他社の航空便を用意する事を義務付けられている。そしてこれらの代わりの移動手段が受け入れられない場合、利用客はブッキングしていた飛行機を無料で変更、或いは取り消し可能で、飛行機代も返ってくる。
つまり、仮にストライキで飛行機が欠航になっても、まずは予定通りの時刻に空港に到着し、航空会社の対応を把握する事が重要になる。例えば航空会社が即座に代替便を用意し、それを逃してしまったらもう泣き寝入りするしかない。
また仮に直ぐに代替の移動方法がオファーされなくとも、焦って安易に自力で別の飛行機便や電車などを勝手にブッキングしない方が良い。まずは航空会社に問い合わせ、代わりの移動手段の用意を拒否された場合になって初めて、自力で別の移動手段を工面した方が得策だろう。その場合は当然、(拒否されているわけだから)後からそのコストを航空会社に請求するべきだ。