新型コロナの変異種が世界各地で猛威を奮っており、それはドイツでも例外ではない。現在はまさに第三波の真っ只中であり、7日間平均の新規感染者数はおよそ19000人である。現行のルールは自治体によって10万人あたりの感染者数が一定数(バイエルンの場合は35,50,100,200)を越えれば規制が強化される仕組みになっており、ミュンヘンの数値は現在123である。
これにより学校は再びオンライン授業に切り替わり、生活必需品の調達を除くあらゆる外出に24時間以内に受けたテストの陰性証明が必要になった。抗原検査は最寄りの薬局などで無料で簡単に受けられるようになっており、私も近々行く予定にしている。スーパーなどで買える簡易検査キットも普及しており、こちらは私も既に何度も利用した。ちなみこれで陽性反応が出た場合、PCR検査に赴く必要がある。
まあ、そうやって検査を増やせば増やすほど多くの感染者数が確認されて、規制が強化される事になるのは致し方ない。事実、これまでの情勢ではテストの徹底及びその結果に基づく感染者の隔離が、蔓延を防ぐ最も有効な方法でもあった。
しかし、ここに来てかなり明るい話題になっているのが、遂にドイツのワクチン接種が軌道に乗り始めたと言う点である。当初は供給の遅れなどもあり、非常に進捗が悪かったのだが、現在ではそうこうするうちに国民の約25%が1回目の接種を受けている。私の周りでもちらほら接種のアポを取れたと言う人が出てきた。
そしてこの効果はデータにもてきめんに現れており、最初に優先的に接種を受けた高齢者層の死亡数、重症者数は劇的に現在減少している。つまり現在の感染者数自体はクリスマスあたりの医療崩壊の危機が叫ばれた頃と殆ど同じだが、状況が当時ほど逼迫していないのはワクチンの効果だと言える。
そして今後もワクチンの接種が順調に進めば、7月の末には希望する大人の全員が接種を受けるのが可能だとされている。もちろん、これまでの例に倣えば、何が起こるかはわからない。期待されて始まったワクチン接種も当初はアストラゼネカの供給不足や副作用の懸念などで大幅に進捗が遅れた。しかし、5月以降は同様の問題で遅延が起こる可能性は遥かに少ない。
と言うのも、現在ではバイオンテック/ファイザーの供給に目処が立っている模様で、仮にアストラゼネカに再び供給問題が起こっても対応可能とされる。バイオンテック/ファイザーのワクチンは言ってみればドイツ国産のワクチンなので、ここで供給問題が起こるとは考えにくい。
更に最近は1回限りの接種で完了できるジョンソン&ジョンソンのワクチン接種が開始され、5月にはこれも国産となるキュアバックのワクチンが承認される見込みである。4月からは一般診療医でも接種が開始されており、6月以降は既に決定された年齢や職業による接種優先順位のルールも撤廃されて、希望すれば誰もが接種のアポが取れるようになる。そうなれば、7月末より早く大人の希望者接種が完了する可能性がある。
既にバイエルンでは完全接種の完了者はテストなしでコロナ前の自由な外出が可能になっている。まだレストランや文化施設もも閉まっているとは言え、徐々にトンネルの出口が見えてきているのは事実だ。
目下のところ懸念されるのはウィルスが変異する事により、ワクチンが効かなくなる事だろうが、これは多かれ少なかれ避けられないと思われる。ウィルスを完全に無害化或いは撲滅させる事など不可能なので、今後もある程度の共存を受け入れた上で生活していく事になるだろう。