ドイツ、アルメニアに圧勝しW杯予選グループ首位に立つ

昨日2022カタールW杯予選、アルメニア戦を観戦したので感想を記しておく。ドイツは知っての通りヨアヒム・レーヴが退任し、新監督ハンジ・フリックが指揮を取る。初陣だった木曜日のリヒテンシュタイン戦は2−0というやや物足りない勝利だった。

アルメニアは現在グループ首位とは言え、本来の力関係なら圧勝すべき相手である。ドイツは春先に格下北マケドニアに敗れるという番狂わせを許しており、この所為で現在グループ3位に甘んじている。

フリックは概ね前任者レーヴが招集していた選手を招集しており、メンバーから言えば驚きは無い。但しシステムはレーヴが苦肉の策で用いた3バックとは決別し、FCバイエルン仕込みの4-2-3-1である。この日は右サイドバックに本来攻撃的MFであるヨナス・ホフマンを起用するなど、まさに攻撃は最大の防御と言わんばかりのシステム、スタメンで臨んだ。

試合は序盤からドイツが圧倒的に試合を支配した。ドイツはキミッヒ、ゴレツカを中心にボールが縦横に速く、広く動かし、アルメニア守備陣を振り回す。アルメニアはボールを奪ってからの縦への速いカウンターで活路を見出そうとするが、ドイツの寄せは速く、完全に一方的な展開となった。

ドイツは6分のニャブリのゴールを皮切りに前半だけで4点を決め、その何れもが素晴らしいコンビネーションから生まれたものだった。ここ数年記憶に無い、まさに非の打ちどころの無い前半である。

後半は予想通り一矢を報いたいアルメニアが攻め込んできたが、暫くすると再びドイツが一方的に攻め込む展開となった。52分にはホフマンがミドルシュートで代表初ゴールを上げ、更にロスタイムには新入りのアデイェミが得点し、終わってみれば6-0という圧勝でドイツはW杯予選首位に立った。

総じて言えば、フリックはまさに自身が前季まで率いていたFCバイエルンのサッカーを代表に落とし込んだと言う印象である。事実スタメンのうちノイアー、ズューレ、キミッヒ、ゴレツカ、サネ、ニャブリの6人はFCバイエルンなので、それも必然と言える。

レーヴ政権下に比べて縦へのスピードが全体的に上がったのに加え、ボールを奪われた後の寄せの速さが大幅に改善された印象を持った。特にEUROで散々こき下ろされたサネも孤立する事なく攻守に連動していた点は今後に向けても極めて大きな収穫だったと思われる。

更にもう一つポジティブな点として上げておきたいのが、若干だがセットプレーで得点の雰囲気が出てきた事だ。ここ数年セットプレーは箸にも棒にもかからない程、全く期待が持てなかっただけにフリックは是非この点を詰めて行って欲しい。

相手がアルメニアと言う格下だけに、この試合でフリックの仕事を評価する事は出来ないが、取り敢えず来年のカタールW杯に向けて希望を持たせる内容だった事は間違いない。もともと攻撃に関しては充実したメンバーを揃えているので、正しい位置にネジを締め直せばここ数年の低迷から脱却できる余地は大いにある。

とは言え、新たな大型フォワードの発掘は厳しいにしても、やはり強豪国に対抗するには守備陣の駒はもっと揃えたいところが本音だろう。