サッカーW杯、ドイツは初戦の日本を絶対に甘く見ないだろう

注目されたW杯グループリーグの組み合わせは、ドイツと日本が同組となり、グループ初戦で対戦する。個人的にも非常に興味深く、今から非常に楽しみなイベントとなった。知っての通り、他の2チームはスペインとコスタリカかニュージーランドとなる。

この組み合わせはドイツ側からみれば、まあまあ易しいグループに入ったという印象だ。まず、今回ポット2に入ったドイツは、ポット1から強豪国を引く事は計算に入っている。ブラジルやフランスをここで引くことを思えば、スペインは強いがまだマシだ。

ポット3でドイツが最も避けたかったのが、怪物ストライカー、レヴァンドフスキを擁するポーランドだっただろう。そもそもヨーロッパのチームは格上に対する戦い方を知っており、堅守から一発カウンターで強豪国にひと泡吹かせる事がある。北マケドニアに敗れてW杯出場を逃したイタリアなど際たる例だ。

ドイツは日本とこれまで対戦機会が少ないとは言え、現在では多くの選手がブンデスリーガでプレーしており、日本人選手の特徴は把握している筈である。日本は世代間や監督によって若干の差異があれど、基本的にスペインと同様、ショートパスを繋いで試合を支配するスタイルで、堅守からのカウンターは得意ではない。これまで対戦機会が少なかったとは言え、客観的にみれば、ドイツにとって比較的与し易いのでは無いか。ドイツは間違いなくこの初戦の日本戦に照準を合わせ、全力で勝ちに来る。

ポット4のニュージーランドかコスタリカは、もちろん油断してはならないが、これは正直言ってラッキーな部類の抽選と言える。ここは仮に3チームが2勝1敗で並んだ時の為に、出来るだけ点差をつけて勝ちたい。

一方、ポット3だった日本からみれば、こちらもポット1から強豪国を引く事は計算に入っており、ポット2から誰を引くかが重要だった。ここでドイツという最悪のババを引いてしまった訳で、抽選結果としては最悪の部類に入る。

また更に運が悪いのが、よりによって初戦がドイツになってしまった事だろう。よく、優勝を狙うチームは調子のピークを決勝Tに合わせ、グループリーグは試運転をすると言われる。しかし、今回のドイツは100%この日本戦に照準を合わせてくるし、絶対に日本を甘く見ない。

何故なら、ドイツは前回のW杯初戦メキシコ戦、やる気なし、チームはバラバラで惨敗を喫し、最終的に史上初のグループリーグ敗退と言う憂き目にあった。同じ失敗は2度としないと、過去にないほど真剣に臨んで来る事は火を見るより明らかだ。メディアも今回は楽観ムードは無い。

個人的に日本にとって最も脅威となる選手はレロイ・サネだと思っている。サネの常人離れしたスピードとドリブルは予測不能で、身体能力で劣る日本人選手が苦手としているところでは無いか。或いは後方から飛び込んで来るゴレツカだろう。屈強なゴレツカに1対1で勝利するのは至難の業で、力でねじ伏せられる。

これに快速ニャブリ、技巧と得点力を備えたハーヴァーツ、そして全く予測不能な動きで相手を混乱に陥れるミュラーを加えた攻撃陣はおそらく出場国中でもトップクラスに入る。殆どの選手がFCバイエルンで連動性も高く、無得点に抑える事はかなり厳しい。

ドイツの弱点は両サイドバックだ。右は監督がハンジ・フリックになって以降、パリSGのケーラーを起用しているが、これは誰もいないから仕方なく起用している感が強い。少なくとも、ケーラーはドイツの攻撃おいては全く期待されていない、守備さえ無難にこなしてくれればOKと言う存在だ。先週のテストマッチでもオランダは敢えてケーラーにボールを持たせてドイツの攻撃を停滞させる戦術を採った。日本の左サイドは高い位置を取り、脅威を与えるべきだ。

また左サイドもまだ選手が固定されておらず、今後もテストが必要となり、ここはいずれにしても実力は未知数、少なくとも経験の浅い選手が来る。敢えて言うならば昨年のEUROに出場したゴーセンスは単体でみればある程度計算出来るかもしれないが、3バックシステムの左ウィングバックで本領を発揮する選手で、常時4バックを使用するフリックのシステムに合わないと思われる。

フリックは前監督レーヴ異なり、奇策を弄してくるタイプではない。4バックで中盤を支配する王道のサッカーを貫き、選手も概ね固定して起用する。序盤から圧倒的なボール支配で、試合を決めにかかるだろう。

日本はしぶとく守りながら、弱点の両サイドバックをスピードのあるウィンガーで徹底的に突けば、ドイツは嫌がるだろう。重要なのは余り引きすぎない事だ。ドイツはボールキープからリズムを作り、相手を疲弊させる。時間帯によっては高い位置からのプレスでショートカウンターを繰り出したい。ドイツは決して得点出来ない相手では無い。

いずれにしても、どちらが勝っても構わないので、好勝負を期待している。非常に楽しみなイベントなので、気が早いながら印象を書かせてもらった。