ここ最近全くと言って良いほどサッカードイツ代表の試合を見ていなかったのだが、昨日のフランス戦は久しぶりに観戦する事にした。今年は地元でEUROが開催される事もあり、久しぶりのサッカーフィーバーが期待されるところである。とはいえ、肝心のチームの戦績はパッとせず強豪国とは言えない有様である。昨日も例によってフランスに惨敗を喫するだろうと期待薄で観戦を始めたところ、いきなり度肝を抜かれた。
キックオフと同時にクロースが前線へ走るヴィルツに完璧なパスを通し、ヴィルツは間髪入れずミドルシュートをフランスのゴールにぶち込んだ。たった開始7秒での先制点である。これは凄い。チームの気勢を上げるのみならず、多くのお茶の間のファンを釘付けにしたであろう素晴らしい攻撃だった。
ここからドイツは例によってボールをキープしながら試合をコントロールしようと試みる。ドイツの中心は3年ぶりに復帰したトニ・クロースである。
ただ20分を過ぎたあたりからフランスが徐々に盛り返してくる。フランスの攻め手はムバッペ、デンベレの個人技が主体である。
30分を過ぎるとフランス更に圧力を強め、ドイツは防戦一方となった。しかし、今回は珍しく守備陣が集中を切らさず、この厳しい時間帯を無失点で切り抜けた。
後半に入るとドイツが完全に試合を支配する。49分にはヴィルツの縦パスから中央へ飛び出したムジアラの左サイドからのアシストをハーヴァーツが決めて2-0とした。ここ数年からは考えられないような完璧な展開ある。
その後もドイツはほぼ完全に試合をコントロールし、フランスに全くつけ入る隙を与えない。試合終盤こそ大量の選手交代でフランスに攻め込まれたが、これは度外視して良い。結局試合はそのまま2-0でドイツがアウエーでフランスに快勝した。
まあ前半の劣勢の時間帯に失点していればまた違った展開になっただろうが、フランス相手に90分間完全に試合をコントロールするのはどんな強豪チームでも不可能だろう。ここ数年の酷い試合内容から言えば出来過ぎぐらいの素晴らしい勝利だった。
因みに昨日最も注目が集まった選手は言うまでもなく、3年ぶりに代表へ復帰したトニ・クロースである。この34歳のクロースを代表へ呼び戻したのは、まさに藁にもすがる苦肉の策だと思っていたが、少なくとも昨日の試合おいてクロースの存在感はまさに別格で、試合を通じてドイツのリズム、テンポを完璧に操った。
ワンタッチでボールをテキパキと捌いたと思えば、若干タイミングをずらしたり、そのタイミングや視野の広さ、そしてその精度はもはや比類ないもので、クロースだけ観ていても飽きないくらいの名人芸を見せてくれた。更に昨日に限っては守備でもかなり貢献度は高く、これまで私が観たドイツ代表でのクロースのベストパフォーマンスだった。
いずれにしても、地元開催のEURO優勝に多少なりとも期待を抱かせる内容での勝利だった。火曜日に引き続きオランダとの親善試合があり、こちらも注目している。